


タイ現地法人設立の概要

海外における拠点設立には一般的に以下のような形態があります。
- 駐在員事務所
- 支店
- パートナーシップ(日本の会社法上の合名、合資会社にあたるもの)
- 株式会社
- 登記手続に入るまえに会社名を決定し、予約申請をする必要があります。類似の会社名が存在しなければ、その会社名で登記する事ができます。予約は30日間有効であり、それまでに基本定款登記を行わないと失効します。 ②基本定款登記
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次に基本定款を作成し、申請・登記します。
基本定款には以下の内容を記載する必要があります。
登録資本金、発行株式数、一株あたり額面金額、会社の目的、発起人氏名、住所、職業、年齢、国籍、引受株式数、本社所在地(県名のみ) なお、発起人は3名以上の個人であること(民商法1093条)、各発起人は最低一株以上の引受が必要(同1100条)、発起人全員が基本定款へ署名すること(同1099条)が会社法上要求されています。
③株式発行、引受、創立総会開催 - 株式が引き受けられた後、創立総会を開催し、下記の事項を議決します。
株主名簿の承認 付属定款の承認 発起人による行為、会社設立費用の承認 優先株を発行する場合、優先株に関する事項 現物出資により引き受けられた株式総数 取締役の選任、権限の承認 会計監査人の選任
④最終登記 - 創立総会後、選任された取締役は総会後3ヶ月以内に株式会社登記を行わなければなりません。登記事項は創立総会において議決された事をはじめとする以下の事項になります。
株主の氏名、年齢、職業、国籍、引受株数 現物出資により引き受けられた株式数 取締役の氏名、住所、年齢、職業 代表取締役の代表権の形態及び署名 付属定款 本店、支店の住所 会社印
⑤納税者登録 - 会社登記後、60日以内に下記の納税者登録を歳入局で行わなければなりません。
- 法人所得税納税者登録(Tax ID 取得)
- VAT(付加価値税)事業者登録
このうち、タイにおいて外国企業が拠点を設立する場合は、株式会社の形態であるケースが一般的です。これはタイの厳しい外資規制に理由があり、外国法人扱いとなる駐在員事務所や支店の設立には、商務省からの外国人事業ライセンス取得が必要で、このライセンス取得に詳細な申請書類の準備などの手間と最終的に認可が下りるか分からない不確実性が伴うからです。
従いまして、ここでは一般的な株式会社設立についての概要を説明します。なお、タイでの「非公開会社」とは、取引所に株式を上場していない会社という意味でして、日本の会社法のような全部の株式に譲渡制限がかけられている会社という意味ではありません。
株式会社設立には、以下のプロセスがあります。
①会社名予約
②基本定款登記
③株式発行、引受、創立総会開催
④最終登記
⑤納税者登録(法人所得税、VAT(付加価値税))
この中で①~④については商務省が申請先で、⑤については歳入局が申請先になります。
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①会社名予約
以上が、一般的な株式会社設立に必要な手続きとなります。